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銕仙会定期公演2月 弱法師 百萬 寝音曲

銕仙会定期公演2月 弱法師 百萬 寝音曲_d0226702_132301.jpg銕仙会 2月定期公演
2012年2月10日(金)6時 @宝生能楽堂 正面席6000円

能 弱法師 盲目之舞
シテ 片山九郎右衛門、ワキ 宝生欣哉、アイ 高野和憲
笛 一噌隆之、小鼓 観世新九郎、大鼓 國川純
後見 浅見慈一、野村四郎

狂言 寝音曲
シテ 野村万作、アド 石田幸雄

能 百萬
シテ 柴田稔、子方 谷本悠太朗、ワキ 野口敦弘、アイ 深田博治
笛 内潟慶三、小鼓 森澤勇司、大鼓 佃良太郎、太鼓 小寺佐七
後見 清水寛二、山本順之


いつものことではありますが、勤労者は見に来てくれなくても全然かまいませんと言う6時始まり。その割にはお年寄りに配慮しない休憩時間5分。まあ、能2つに狂言1つなら割安のお値段設定なのかもしれませんが。

弱法師。盲目の舞の小書きのある時にはクリ、サシ、クセは省かれると本にはありますが、今日は前もってクリ、サシ、クセは省かれませんとの張り紙あり。と言うことはそれらもしっかり楽しんだ上にイロエの代わりの盲目の舞も楽しめるということ。弱法師は人気の片山九郎右衛門、それもむべなるかな、の演出。

とは思ったら、何とはなしにいつもの花が感じられません。いきなり「よろめき歩けば弱法師と」のところが「二月の雪は衣におつ」に変わっちゃって、あわてた後見が次をつけてました。意味がわかって謡っているのか心配。(意味がわかっていてもそういう間違いの仕方があるのは知っていますが。)

今回はアイも派手な金の縞模様の扇で布施をします。そしてシテはアイにぶつかって安座する演出でした。アイはちゃんと弱法師を立たせてあげるのでした。

謡の全集を色々ひもとくと、弱法師というのはじつに色々なバリエーションの所作(演出)があるもので、九郎右衛門もそれで緊張してしまったのでしょうか。この人のシテを見るのは初めてですが、謡や舞で想像すると、もっと実力のある人だと思います。がんばってほしい。


寝音曲は石田幸雄と野村万作。謡うのは小原木(これは調べて初めて分かった)と海人。とぼけた味の石田が面白い。万作、ちょっと息が上がっていました。でもそれはそれで味があるのですが(酔って謡ったら息が上がるでしょ)、石田の謡も聴いてみたいですね(ファンなので)。


百萬の柴田、何かの時に立ち姿のとても奇麗な人だと思って今回も期待していたのですが、裏切らず。いわゆるハンサムでは無い人で、どちらかと言うと無骨な感じの人ですが(失礼)声に艶がある。こういう人って工まずして女が群がるんですよ。舞台の外でモテていそう。それはともかく、仕舞も謡も良かったし、ああ、百萬というのはこういう女性だったのだ、ということが納得できる舞台でした。またこの人のシテで何か別の演目を見てみたい。

ワキの野口。上体が左右に揺れる歩き方が気になったのですが、ああいう歩き方をするのは相当な高齢なのでは。それを考えると実力派かな。大鼓の掛け声がちょっと気になりましたが、あんまりなじみのない囃子方も納得の出来。地謡に艶がありました。

尚、装束についてはシテのブログに詳しいです。

ところで、子方。後ろの方の席だったので「声がしっかり出ていて元気ね」と思っていたのですが、親御さんのツイートだと、泣いちゃったり、アクビしたり、だったらしい。可愛い。親はハラハラでしょうが。子方がでると残りは皆喰われちゃう。ロビーでだっこされていた可愛い弟君のデビューも待ち遠しい。ちょっとアンヨに触らせてもらいました。


いつものことながらパンフレットが充実。百萬の中でどうして二種類の経が唱えられるのかを松岡心平がわかりやすく書いています。何だかキリスト教のプロテスタントとカトリックのせめぎ合いを想像しました。手に入ったら読んでみてください。
by soymedica | 2012-02-12 13:11 | 能楽 | Comments(0)
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