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華より幽へ 観世栄夫自伝

あけましておめでとうございます。
皆、翁見に行ったんだろうなー。まあ主婦(相当にクエスチョンマークがつく肩書きですが)としては正月三が日から家をあけるわけにもいかず、1月の週末は旅行に行ったり、カンファレンスがあったりというわけで、翁は見ません(涙)。

そんなわけで本年最初のページは読んだ本の記録です。実はだいぶ前に読んだ本なのですが、年末年始に読んだ本はあんまり能と関係なかったので。

華より幽へ 観世栄夫自伝_d0226702_1543634.gif華より幽へ 観世栄夫自伝 著述 観世栄夫 構成 北川登園 白水社
2007年9月10日発行

完成途中で亡くなってしまったので北川登園が完成させたという自伝。
観世から喜多へ、そして能楽協会脱退、観世復帰という一連の流れも、こうやって説明されてみると自由に舞台芸術を追求した結果としての流れだったのだな、と納得できます。まあ、次男坊の奔放さ、というのもあるかもしれません。そして長男の寿夫が偉かったのかもしれない。

何もない中で、各流派一緒に練習した戦後の話、 共産党に勝手にシンパだとおもわれていた新劇時代の話、面白かったです。能のこれからについても語っていますが、ここのところは本人の手が入ることが少なかったらしく、若干論旨が混乱しています。あえて編集せずに残したのではないかと思われます。もう少し長生きして欲しかったですね。

「習慣のくりかえしは良くない。何となく惰性でくりかえすというのではなくて、ひと言、一つの謡い方、一つの装束の選び方、一つの面の選び方についても、すべて洗い直す作業が必要なのではないか。
 しかも、それは個人で思いついてやるというのではなくて、集団として組織化していく作業が必要である。
   (中略)
集団として地謡も僕の主張に賛同してくれなければならない。一人の演能会だと、どうしてもその人のためにやるという感じになってしまう。
 しかし、銕仙会ではぼくが地謡をうたっても、銕仙会として責任のもてる地謡でやることになり、会全体としての方向へシテの目が行く、という具合になってほしいわけである。」

読んで損のない内容です。
箱入の古めかしい装丁ですが、出版年は2007年です。
by soymedica | 2012-01-03 15:46 | 本・CD・その他 | Comments(0)
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